「歯科医師資格」編
- 2008-07-24(Thu)
- 塾長より
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「歯科医師資格」編
リスク<リターン、歯科医師はおトクな資格?!
前回までは医師資格を採り上げたが、今回は予定調和の如く、歯科医師である。この資格も社会人には一見遠い道のりのように見えるが、実際はそんなことはない。医師資格よりは、バーが低い。ルート(歯科医師養成課程)に一度乗ってしまえば、よほど怠けたりしくじったりしなければ、資格取得の確実性は高いのだ。勤めを辞める恐怖心は薄く、予想されるリターンと引き比べて悪くない転身だ。
既に医師資格取得のための途は述べたので、ある程度比較しながら検討していこう。
社会人は歯科医師に向いている
まず、志望理由固めについて。医師に比べて、歯科医師は手技が重要ということが言えるだろう。また、生業としてみれば、開業がターニングポイントになる。だとすれば、ビジネスセンスを持った社会人の方が、経験の分だけ成功の可能性は高い。少なくとも場所さえ選ばなければ、需要はある。
さらに、社会人が歯科医師に向いている理由がある。
歯科医ではない「医師」になるという決断は、それなりに重い。人の命を直接に左右する職業には、それだけのプレッシャーが伴うのである。歯科医師が人の命を扱わない、とは言わないが、少なくとも人の死に立ち会うことは珍しい。
医学部受験の面接を受ける場面を想像してみて欲しい。「あなたはなぜ医者になりたいのですか?」という定型の質問に、本当の心の内を晒せるだろうか。良心にもとるところがあるのならば、歯学部受験の方が気が楽なはずである。
随分と強引な論理展開の様に見えるかもしれない。しかし我々は、医師には人間味ばかりを求め過ぎではないだろうか。ホームドクターに求めるものと、外科医に求める資質は違ってしかるべきであろう。かわいそうでなかなかメスが入れられない外科医を、評価していいとは思えない。手技が重要な歯科医師は、まず優秀なテクニシャンであって欲しい。慰め上手で抜歯が下手な歯医者と、その逆と、どちらが優れているかは明らかだ。
さらに、ここで考えておきたいことがある。歯科医師も医師も、科学者なのである。建前ではなく、心ある歯科医師は論文を書き、学会に出る。休診が多い歯科医師は、遊んでいるよりはむしろ研究活動に熱心な場合が少なくない。歯科医師のエートスはより科学的、合理的、プラグマティックであるべきではないだろうか。
ここまで考えると、「あなたはなぜ歯科医師になりたいのですか?」に対する、社会人らしい合理的な答えが見つけられてくるだろう。超高齢化社会、8020運動、地域医療問題などの社会的要素で補強すれば、より明確な志望理由は見いだせる(8020運動が判らない人は、直ちに調べるように。これが判らないようでは歯学部受験など覚束ないので、敢えて説明しない)。
歯学部一般受験より編入がおトク!?
次に、受験について。
歯科医師になるには歯学部に入らなければ話にならない訳だが、社会人にとって実は意外に優しいシステムが普及しつつある。まず、高校生や浪人生と一緒に、一般受験を受けるのはもちろん可能である。さらに、社会人入試もしくは学士入学、または編入学の試験を実施する学校は増加しているのである。国公立では3年次学士編入が主流、私立は2年次編入が主流である。
3年次学士編入か、2年次編入か。この違いの意味をもう少し説明しておこう。
3年次学士編入試験を実施する大学では、書類審査・小論文・面接が中心で選考する。えっ、と思うかもしれないが、実は一般的な学力試験スタイルの試験を実施する学校はむしろ少数派なのである。
その代わり、理科系の素養と知識は、大学で取得した理系科目の単位によってシュアードされるという形式である。この方法はアメリカのメディカルスクールやデンタルスクールの考え方に近く、極めて先進的である。
一方で、全く理系科目を学んでいない文系社会人にとっては門戸を塞がれているようにも見える。しかし、ブレイクスルーはある。大学の科目等履修生になって、単位を揃えてしまうことが出来るからである。近所の大学、通信制の大学、放送大学を駆使すれば、働きながらでも、揃えられない単位はない。揃わないのは、努力しないからだ。
一方、2年次編入について。こちらは1年長くてうざったいような気がするが、実はここにもスペシャルなギフトがある。「学士」編入ではないのである。幾つかの大学では短大卒や高専卒、専門学校卒、大学に一定の年数以上在学・単位取得で受験資格を与えている。
ざっくり挙げれば、日本大学松戸歯学部は「原則として1年以上在学、34単位以上修得」で受験できる。松本歯科大学や日本歯科大学新潟校は「短期大学卒業、高等専門学校卒、大学に2年以上在学し所定の単位を修得」、福岡歯科大学や日本歯科大学東京校は「短大卒、高専卒、専門学校卒(専門課程)卒」で受験できる(詳細な用件は確認のこと)。大学中退であっても、歯科医師への途がちゃんと開かれているのである。
狙うべき大学を挙げておこう。国公立では東京医科歯科大学、新潟大学、大阪大学、岡山大学、広島大学、徳島大学、九州大学、長崎大学が学士編入学を実施している。学費の心配が私立に比べて極めて低い国公立で、しかも編入年度は3年次(広島大学は2年次後期、徳島大学も来年から同様)である。
私立では昭和大学、東京歯科大学、日本大学、日本大学松戸歯学部、愛知学院大学、松本歯科大学、福岡歯科大学、奥羽大学、 日本歯科大学、朝日大学、明海大学、鶴見大学、神奈川歯科大学が編入学試験を実施している。
大学は場所で選ぶな
これらの大学が近所にない、と思った方は、その性根を入れ直して欲しい。歯学部再受験は、あなたが大学に合わせるものである。大学は歩けないが、あなたは引っ越せる。
テレビ局のアナウンサーを目指す現役学生の就職活動を知っているだろうか。彼らは数ヵ月の間、全国の放送局の試験を転戦する。内定が出たところが住む場所なのだ。どこの出身だろうと、どこのキー局が第一志望であろうと、決まったところに就職するのである。
これ以下の決心で、歯学部受験を開始しないこと。歯学部受験に失敗する社会人は、甘い。場所を選ぶのなど、もってのほかである。
ここ数年の入試日程からすると、国公立だけでも、書類審査を通れば7〜8校が受験可能である。夏に集中しているので、お盆休み、夏休み、有給休暇を駆使し、栄光へのロードにでるといい。
スタートラインは、前述の学校をネットで検索し、資料を取り寄せること。そして、読みこなすこと。対策を立てること。最短で来年の10月(国公立の2年次後期入学)、あなたは将来を約束された歯医者の卵になっている。

リスク<リターン、歯科医師はおトクな資格?!
前回までは医師資格を採り上げたが、今回は予定調和の如く、歯科医師である。この資格も社会人には一見遠い道のりのように見えるが、実際はそんなことはない。医師資格よりは、バーが低い。ルート(歯科医師養成課程)に一度乗ってしまえば、よほど怠けたりしくじったりしなければ、資格取得の確実性は高いのだ。勤めを辞める恐怖心は薄く、予想されるリターンと引き比べて悪くない転身だ。
既に医師資格取得のための途は述べたので、ある程度比較しながら検討していこう。
社会人は歯科医師に向いている
まず、志望理由固めについて。医師に比べて、歯科医師は手技が重要ということが言えるだろう。また、生業としてみれば、開業がターニングポイントになる。だとすれば、ビジネスセンスを持った社会人の方が、経験の分だけ成功の可能性は高い。少なくとも場所さえ選ばなければ、需要はある。
さらに、社会人が歯科医師に向いている理由がある。
歯科医ではない「医師」になるという決断は、それなりに重い。人の命を直接に左右する職業には、それだけのプレッシャーが伴うのである。歯科医師が人の命を扱わない、とは言わないが、少なくとも人の死に立ち会うことは珍しい。
医学部受験の面接を受ける場面を想像してみて欲しい。「あなたはなぜ医者になりたいのですか?」という定型の質問に、本当の心の内を晒せるだろうか。良心にもとるところがあるのならば、歯学部受験の方が気が楽なはずである。
随分と強引な論理展開の様に見えるかもしれない。しかし我々は、医師には人間味ばかりを求め過ぎではないだろうか。ホームドクターに求めるものと、外科医に求める資質は違ってしかるべきであろう。かわいそうでなかなかメスが入れられない外科医を、評価していいとは思えない。手技が重要な歯科医師は、まず優秀なテクニシャンであって欲しい。慰め上手で抜歯が下手な歯医者と、その逆と、どちらが優れているかは明らかだ。
さらに、ここで考えておきたいことがある。歯科医師も医師も、科学者なのである。建前ではなく、心ある歯科医師は論文を書き、学会に出る。休診が多い歯科医師は、遊んでいるよりはむしろ研究活動に熱心な場合が少なくない。歯科医師のエートスはより科学的、合理的、プラグマティックであるべきではないだろうか。
ここまで考えると、「あなたはなぜ歯科医師になりたいのですか?」に対する、社会人らしい合理的な答えが見つけられてくるだろう。超高齢化社会、8020運動、地域医療問題などの社会的要素で補強すれば、より明確な志望理由は見いだせる(8020運動が判らない人は、直ちに調べるように。これが判らないようでは歯学部受験など覚束ないので、敢えて説明しない)。
歯学部一般受験より編入がおトク!?
次に、受験について。
歯科医師になるには歯学部に入らなければ話にならない訳だが、社会人にとって実は意外に優しいシステムが普及しつつある。まず、高校生や浪人生と一緒に、一般受験を受けるのはもちろん可能である。さらに、社会人入試もしくは学士入学、または編入学の試験を実施する学校は増加しているのである。国公立では3年次学士編入が主流、私立は2年次編入が主流である。
3年次学士編入か、2年次編入か。この違いの意味をもう少し説明しておこう。
3年次学士編入試験を実施する大学では、書類審査・小論文・面接が中心で選考する。えっ、と思うかもしれないが、実は一般的な学力試験スタイルの試験を実施する学校はむしろ少数派なのである。
その代わり、理科系の素養と知識は、大学で取得した理系科目の単位によってシュアードされるという形式である。この方法はアメリカのメディカルスクールやデンタルスクールの考え方に近く、極めて先進的である。
一方で、全く理系科目を学んでいない文系社会人にとっては門戸を塞がれているようにも見える。しかし、ブレイクスルーはある。大学の科目等履修生になって、単位を揃えてしまうことが出来るからである。近所の大学、通信制の大学、放送大学を駆使すれば、働きながらでも、揃えられない単位はない。揃わないのは、努力しないからだ。
一方、2年次編入について。こちらは1年長くてうざったいような気がするが、実はここにもスペシャルなギフトがある。「学士」編入ではないのである。幾つかの大学では短大卒や高専卒、専門学校卒、大学に一定の年数以上在学・単位取得で受験資格を与えている。
ざっくり挙げれば、日本大学松戸歯学部は「原則として1年以上在学、34単位以上修得」で受験できる。松本歯科大学や日本歯科大学新潟校は「短期大学卒業、高等専門学校卒、大学に2年以上在学し所定の単位を修得」、福岡歯科大学や日本歯科大学東京校は「短大卒、高専卒、専門学校卒(専門課程)卒」で受験できる(詳細な用件は確認のこと)。大学中退であっても、歯科医師への途がちゃんと開かれているのである。
狙うべき大学を挙げておこう。国公立では東京医科歯科大学、新潟大学、大阪大学、岡山大学、広島大学、徳島大学、九州大学、長崎大学が学士編入学を実施している。学費の心配が私立に比べて極めて低い国公立で、しかも編入年度は3年次(広島大学は2年次後期、徳島大学も来年から同様)である。
私立では昭和大学、東京歯科大学、日本大学、日本大学松戸歯学部、愛知学院大学、松本歯科大学、福岡歯科大学、奥羽大学、 日本歯科大学、朝日大学、明海大学、鶴見大学、神奈川歯科大学が編入学試験を実施している。
大学は場所で選ぶな
これらの大学が近所にない、と思った方は、その性根を入れ直して欲しい。歯学部再受験は、あなたが大学に合わせるものである。大学は歩けないが、あなたは引っ越せる。
テレビ局のアナウンサーを目指す現役学生の就職活動を知っているだろうか。彼らは数ヵ月の間、全国の放送局の試験を転戦する。内定が出たところが住む場所なのだ。どこの出身だろうと、どこのキー局が第一志望であろうと、決まったところに就職するのである。
これ以下の決心で、歯学部受験を開始しないこと。歯学部受験に失敗する社会人は、甘い。場所を選ぶのなど、もってのほかである。
ここ数年の入試日程からすると、国公立だけでも、書類審査を通れば7〜8校が受験可能である。夏に集中しているので、お盆休み、夏休み、有給休暇を駆使し、栄光へのロードにでるといい。
スタートラインは、前述の学校をネットで検索し、資料を取り寄せること。そして、読みこなすこと。対策を立てること。最短で来年の10月(国公立の2年次後期入学)、あなたは将来を約束された歯医者の卵になっている。


